時代の変化に刺激されながら、常に新たな音楽を生み出し続けてきたChar。今回、2023年に発表したアルバム『SOLILOQUY』を引っさげて全国各地を回ったツアー“Char Live Tour 2023 ～Soliloquy～”の東京公演2デイズの模様を収録した作品『LIVEVIL Live at EX THEATER ROPPONGI 2023』が、2024年4月14日(日)にZICCA RECORDSから発売される。
この作品は、東京公演2日目である12月3日（日）のステージをノーカットで全曲収録した2枚組CD（全16曲）と初日の12月2日（土）のライブの模様を記録した映像作品（DVD／Blu-ray：全10曲）で構成されている。まず注目したいのは、ツアー・メンバーだ。長年に渡りアンサンブルの屋台骨を支える澤田浩史（b）に加え、新メンバーとしてスタジオ・ワークを中心にアレンジやプロデュースでも活躍する柴田俊文（key／ex.UGUISS）とオーストラリアの実力派セッション・ドラマーであるタリー・ライアン（d）がバンドに参加しており、今回のツアーで初めて音を合わせたとは思えないほど息の合ったパフォーマンスを披露しているのだ。
ライブは「BEYOND THE BEYOND」を皮切りに、「INFANT ELEPHANT」、「GOJIMADE MATENAI」と最新のオリジナル・アルバム『SOLILOQUY』に収録されたナンバーを中心に進んでいく。2023年に逝去したジェフ・ベックへ捧げた「JEFF -SOLILOQUY-」では、ギター本体のボリュームを使ったバイオリン奏法と微細なアーミングを駆使しながら情感たっぷりにギターを歌わせており、その緩急と抑揚を自由自在に操る見事なまでの表現力は本作のハイライトと呼べるシーンだろう。また春畑道哉に提供した「I FEEL FREE」では、徐々に熱を帯びていくバンド・アンサンブルに呼応するように鬼気迫るギター・プレイを披露し、観客の興奮の渦へと巻き込んでいく。
ライブ後半に入ると「MOVING AGAIN」、「SHININ' YOU, SHININ' DAY」、「SMOKY」といった時代を超えて愛される代表曲をプレイ。ここでもCharは、アグレッシブなギター・プレイで会場の熱気をグイグイと引き上げていく。その姿は新たなメンバーと一緒に音を鳴らすことによって引き出された演奏を心から楽しんでいるかのようだ。このような場面は、作品の随所で感じ取ることができる。Charが新たなバンド・メンバーと創り出す“音の化学反応”をじっくりと味わうことができるのも本作の見どころのひとつだと言えるだろう。
アンコールでは、「RAINBOW SHOES」、「TOKYO NIGHT」、「APPLE JUICE」と畳みかけ、大きな盛り上がりとともにライブ本編は幕を閉じた。そして興奮冷めやらぬ観客の拍手と歓声が会場に鳴り響く中で、ライブの最後に披露されたのは、長年の相棒であるヤマハのアコースティック・ギターを抱えたCharと柴田俊文の鍵盤というデュオ編成で奏でられたJohnny, Louis & Char時代のアコースティック小曲である「Kindesalter」。聴く者の胸を打つ美しい旋律が会場全体を包み込み、ライブは大団円を迎えたのだった。
常に前を見据えて新たな挑戦を続けるCharという音楽家の最新の表現スタイルを、本作を通じてたっぷりと堪能できる充実の仕上がりとなっている。
なお本作品にはダウンロード・カードが封入されており、作品に収録された東京公演以外のツアー・ドキュメンタリー映像や、ツアー他会場のライブ音源、貴重なフォト・ギャラリーなど、さまざまなコンテンツが充実しているのも魅力だ。こちらもぜひ合わせて楽しんでほしい。
