SOLILOQUY

Char New Album

SOLILOQUY

発売日: 2023年7月31日
予約開始日: 2023年6月22日

音楽制作に関わる全てを
“独り”で手がけた
“スタジオ・クラフトの結晶”
ともいうべき
Charの最新アルバム
『SOLILOQUY』

日本を代表するギタリストのCharが、作曲/楽器演奏/トラックメイクからアレンジやプロデュースまでを独りで手がけた最新アルバム『SOLILOQUY』。ギターを思う存分に歌わせたインストゥルメンタル・ナンバーで構成された内容で、ジェフ・ベックに捧げた最新オリジナル曲「Jeff~Soliloquy~」や、アコースティック・ギターで美しい旋律を奏でた「Kindesalter」、「My Favorite Thing」や「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」といった時を超えて愛されるスタンダード・ナンバーのカバーなど、魅力溢れる全12曲を収録。プレイヤーとしても、音楽表現者としても、純度100%のCharをたっぷりと堪能できる作品に仕上がっている。

SOLILOQUY

商品形態

【完全予約限定盤】
(CD+T-SHIRT+トートバッグ)
8,000円

<完全予約限定盤予約受付期間:6/22(木)〜7/16(日)23:59分まで>
※Tシャツサイズ:S/M/L/XL からお選びいただけます。

【初回盤】(CD+トートバッグ) 5,500円

【通常盤】(CD) 3,000円

★予約特典

「SOLILOQUYハガキ、ステッカーセット」付
<7/30(日)23:59分までに予約購入対象>

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日本が世界に誇るギター・ヒーロー、Char。時代の変化に刺激されながら、常に 新たな音楽を生み出し続けてきた彼が、最新アルバム『SOLILOQUY』(読み:ソリロクイ)を完成させた。

“独り言”と名付けられた本作は、ギターやベース、シンセサイザー、パーカッションといった楽器演奏だけでなく、トラック・メイクやアレンジに至るまで、楽曲制作に関わるすべてをCharが独りで手がけた1枚。文字どおりの“ソロ”アルバムだ。自身のレーベルであるZICCA RECORDSを立ち上げた2009年からの現在に至るまでの14年間の中で、常日頃から書き溜めているアイデアを類稀なる技術とセンスで磨き上げ、魅力溢れる音楽表現へと昇華させた内容となっている。Charというコンポーザーが曲を書き、すべての楽器をCharというミュージシャンが演奏し、Charというアレンジャーが編曲をする───まさに“純度100%のChar”をたっぷりと堪能できる1枚に仕上がっている。

このアルバムは、全12曲のインストゥルメンタル・ナンバーで構成されている。Charが半世紀以上に渡り、その背中を追い続けてきたというジェフ・ベックからインスピレーションを受けて誕生した「Jeff〜Soliloquy〜」、ハードに歪んだギター・リフが耳を掴んで離さない骨太なロック・ナンバー「Stra-Pole〜Page 12〜」、Johnny, Louis & Charのアルバム『OiRA』(1981年)に収録された小曲に「いとしのレイラ」のアウトロを第二楽章としてマッシュアップすることで新たに生まれ変わった「Kindesalter」、春畑道哉(TUBE)へ提供したスリリングなロック・ナンバーの「I Feel Free」を始め、「My Favorite Thing」や「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」といった時を超えて愛されるスタンダード・ナンバーのカバーも収録しており、“総合芸術家”としてのCharの創造性や音楽表現との向き合い方などが色濃く投影された“スタジオ・クラフトの結晶”とも言うべきアート作品と言えるだろう。

約半世紀に及ぶ音楽生活の中で、常に進化の歩みを止めないChar。ユニークな実験的精神と遊び心から生まれた膨大な数のアイデアの数々を、たった独りでまとめ上げた『SOLILOQUY』には、これまでに発表されてきたどの作品よりも“音楽表現者”としてのCharの魅力が濃厚に凝縮されている。奏でられる旋律、ひとつひとつの音を緻密に編み込んだアレンジメントを始め、至る所からCharの魅力的な個性を感じ取ることができる楽曲の数々を、存分に味わってほしい。

スペシャル・インタビュー
『SOLILOQUY』by Char

インタビュー:尾藤雅哉

 日本を代表するロック・ギタリストのCharが、作曲/楽器演奏/トラックメイクからアレンジやプロデュースまでを“独り”で手がけた最新アルバム『SOLILOQUY』(読み:ソリロクイ)を完成させた。“SOLILOQUY=独り言”と名付けられた本作は、ギターを思う存分に歌わせたインストゥルメンタル・ナンバーで構成された内容で、ジェフ・ベックに捧げた最新オリジナル曲「Jeff~Soliloquy~」や、アコースティック・ギターの美しい旋律が印象的な「Kindesalter」、「My Favorite Thing」や「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」といったスタンダード・ナンバーのカバーなど、魅力溢れる全12曲を収録。プレイヤーとしても、音楽表現者としても、純度100%のCharをたっぷりと堪能できる作品に仕上がっている。

 ユニークな実験的精神と遊び心から生まれた膨大な数のアイデアの数々を、たった独りでまとめ上げた最新アルバムの制作背景について、じっくりと語ってもらった。

1

ZICCAを作ってから10数年に渡る
音楽表現の“集大成”と呼べる作品

───音楽制作に関わるすべてを“独り”で手がけた最新アルバムが完成しました。まずは、このようなコンセプトで作品を制作しようと思ったきっかけから教えて下さい。

 2009年に自分のレーベルである“ZICCA RECORDS”を立ち上げた時、まず最初に手がけたことが、いつでも音楽制作に取り組むことができるプライベート・スタジオを作ることだった。以前から、ミュージシャンにとって自分の表現と向き合うことができるアトリエは絶対に必要だと考えていたからね。それこそ1980年代に銀座にSMOKY STUDIOを立ち上げた時もそう。ただ、当時と今で決定的に違うのは、パソコンやPro Toolsが広く普及したことだね。それによって小さなスタジオでも工夫すれば、さまざまな表現が可能になった。なので、まずは事務所に楽曲制作ができる設備と環境を整えていったんだ。すると当然だけど、そのスタジオで実験的に作曲に取り組む日々が始まっていく。そんな中で生まれてきた断片的なアイデアが、やがて『TRADROCK』シリーズ(2010年)や還暦の時に作った企画盤の『ROCK+』(2015年)、オリジナル・アルバムの『Fret to Fret』(2021年)としてひとつの形となった。今回の『SOLILOQUY』も同じで、ある意味ではZICCAを作ってから10数年に渡る俺の音楽表現の“集大成”と呼べる作品かもしれないね。

───曲はどのように作り込んでいったのですか?

 常日頃から、スマホのボイスメモに思いついたアイデアを録り溜めているんだけど、気がついた時にはものすごい量になっていて……今回、独りでアルバムを制作するにあたり改めて聴き返してみたら、自分でも忘れていたおもしろいアイデアがたくさんあったんだ。そういう小さな発想や1小節だけの短いフレーズをもとに、スタジオで楽曲へと発展させていった。基本的にはドラムとベースだったり、キーボードとリズムからアンサンブルをデザインしていくことが多かったかな。シンプルな状態のデモ音源を何度も聴きながら、いろんなアプローチを考えていくんだけど……例えば“パイプオルガンの音を入れたい”と思った時に、サンプリングの音源を使えば簡単に表現することができるし、やってみて合わなかったら、別のキーボード音源を試しながら、自分のイメージに近い音を探っていくことができる。自分の頭の中に“こんな絵を描きたい”というラフなデッサンがあるとしたら、それと一緒に“こうやって彩っていきたい”という発想もあるわけで、それを同時並行で進めながら曲を作り込んでいく。それはスタジオクラフトの作品ならではのやり方だし、さまざまな実験的アプローチを楽しみながら作ることでできたので、ギタリスト以外の面でも自分の個性や音楽への向き合い方、アレンジの考え方なんかが、よりダイレクトに投影された作品だと思う。

───独りで楽曲を作り込んでいく際、頭の中にはさまざまな役割のCharさんがいて、脳内会議が行なわれている感じなのでしょうか?

 そうそう。いろんなヤツがいるから大変だよ(笑)。いろんな楽器を演奏するプレイヤー以外にもディレクター、プロデューサーとか……その中でも特にアレンジャーとしての目線は、プロとしてデビューする前から大切にしていたかな。以前、スタジオ・ギタリストの仕事をしていた時、シンガーソングライターが持ってくるコード進行とメロディだけの曲に対して“こういう風にアレンジしてほしい”という仕事もよくやっていたからね。そういうのも含めて、その頃から現在に至るまでのさまざまな経験が、今回の楽曲制作に生かされていると思う。スピーカーの真ん中でギターが歌い出した時、その周囲に“どんな音が鳴っているか?”というアレンジは、曲の全体像を俯瞰で理解していないとデザインできないからね。今回のレコーディングでは、曲に対して自分が一番欲しいテンポや演奏のニュアンスなど、思いついたことをどんどん試していった。パーカッションにしても、コンガやシェイカーだけでなくアジア系の民族楽器を仕込んでみたりもした。俺の中にはロックやR&B、クラシック、民族音楽に至るまで、さまざまな音楽に触れてきた経験の蓄積があるから、いろんな角度からアレンジを考えていける。しかも思いついた発想をすぐに音源に反映させていくことができるから、作業していて楽しかったね。

2

「Jeff〜Soliloquy〜」という楽曲には
“今のChar”が
すごく投影されていると感じる

───では、アルバムに収録されている楽曲について話を聞かせてください。まずはオープニングを飾る「Jeff〜Soliloquy〜」ですが、これは昨年亡くなったジェフ・ベックへ向けた曲でしょうか?

 そうだね。アルバム制作に取り組んでいる最中にジェフの訃報を聞くことになるんだけど……この曲が完成した時に、“ジェフ・ベックがいなかったら書けなかった曲だな”と感じたので、彼に捧げる想いも込めてタイトルを付けたんだ。曲の中にはいろんな仕掛けがあって……例えば、4小節の中にメジャー・キーとマイナー・キーが混在しているので、調子こいてメジャー・スケールだけで弾いていると変な方向へ行ってしまう。しかも4分の4拍子で規則的に進行していくわけでもない。おそらく聴いている人にはわからないと思うんだけど、小節をまたぐタイミングで不思議な動き方をしたりするから、バンドで演奏するとなったらメンバー全員が気をつけて演奏しないといけなくて……けっこう難しい曲なんだよね。

───「Jeff〜Soliloquy〜」は、5月に日比谷野外音楽堂で行なわれたSmoky Medicineのライブで初披露されていましたね。

 Smoky Medicineは、ジェフ・ベック・グループのカバーもやっていたから、今回はジェフのトリビュート的なライブにしようという話をメンバーとしていて。最初、候補に上がっていたのが「哀しみの恋人達」だったんだけど、まだ完成前だったこの曲のデモ音源を「実はこっちをやりたいんだよね」ってみんなに聴かせたら、「絶対にこっちがいいよ」と賛成してくれたんだ。俺としても、Smoky Medicineのメンバーで「Jeff〜Soliloquy〜」を演奏するのは、すごくおもしろいなって思ったし、実際にやってみたらものすごく気持ちよかった。この曲を野音でデビューさせることができてよかったよ。(金子)マリちゃんには、「何をやってもCharちゃんはCharちゃんよ」って言われたけど、客観的に見ても“今のChar”がすごく投影されていると感じる。すごく好きな曲になったね。

───改めて、Charさんにとってジェフ・ベックはどのような存在でしたか?

 その存在を知ったのは子供の頃だったけど、それから半世紀以上にわたってジェフには影響され続けてきた。もちろんジェフ以外にも素晴らしいプレイヤーはたくさんいるし、彼らからも影響を受けてきたけれど、オンタイムでライブを観たり、新作を聴いたりして刺激を受け続けてきたのはジェフだけだね。個人的な意見になるけど、晩年のジェフは、ストラトとマーシャルを使った音楽表現としてジミ・ヘンドリックスを超えたんじゃないかなって思う。ジェフは、自分自身の“フレーズ”と“音色”という武器を磨きに磨いて、磨き抜いた人。ジェフは“俺もそんな風になりたい”という憧れの存在であり続けていた。しかも彼の自宅に行って隣同士でセッションした相手でもあるだけに……いろんな意味で縁があったのかなって思う。

───爽やかなインスト・ナンバーの「Blue Wind」は、どのように作り込んで行ったのですか?

 まず最初に自分がデザインした短いフレーズがあって、それを発展させて作り込んでいった曲だね。これは『世界遺産』(NHK/2010年)というテレビ番組のテーマとして作った曲で、当時、俺自身も“良い曲ができたな”って思っていたんだけど、“もっと違う曲を作ろう”と欲が出てきて……最終的に「Cosmic Pitch」という別の楽曲を番組に提供したんだよね。

───軽やかなパーカッションのリズムもアクセントになっています。

 この曲で使ったのは、マーダルというネパールの民族楽器だね。立って演奏する両面太鼓なんだけど、昔、レコーディングが終わった帰り道にたまたま立ち寄ったネパール料理屋で見つけて、その場で店の人に売ってもらったんだ(笑)。コンガやボンゴとはちょっと違って、どこか東洋的な音がするんだよね。『世界遺産』という番組のテーマということで、いろんな国のエッセンスを入れたいなと思っていて。本来だったらコンガやボンゴといったラテンなパーカッションを入れるんだろうけど、ここで“異なる国の民族楽器を入れたらどうなるかな?”という発想が出てきて……試しにマーダルでやってみたらガラリと曲の表情が変わったんだよね。

───「Gojimade Matenai」は、独特な音階のリフが印象的なプログレッシブ・ロック・ナンバーです。

 リフのアイデアを思いついたのは……随分前だね。たしかジム・コープリーとポール・ジャクソンと一緒にスタジオに入っていて、その休憩時間にピアノの前に座っていたら、このリフがパッと出てきたのを覚えている。それを聴いたポールが「俺にこのフレーズをくれ」って言ってきたんだよ(笑)。この曲に関して言えば、ザ・クルセイダーズやハービー・ハンコックのような1970年代の“クロスオーバー”が表現の根っこの部分にあると思う。アレンジを考える上でも、“ハービーだったらこう弾くだろうな”とか、“黒人のドラマーよりも白人的なロック・ドラムを合わせたほうがおもしろそうだな”とか……そうやっていろんなやり方を考えるのがおもしろいんだよね。楽器の演奏はひとりでやっているんだけど、曲を聴いてもらうと数人のやつが音で遊んでいる感じがすると思う。それはどの曲に対しても言えることだけどね。

───グルーヴィに躍動するワウ・ギターもアンサンブルの中で欠かせない存在だと感じました。

 個人的に数あるエフェクターの中で最大の発明は、ワウ・ペダルだと思う。足の踏み込みでトーンをコントロールするって、すごいアイデアだよね。あと、ワウの音ってなんか不思議なんだよ。どこか“言葉を喋る”ことに近い印象がする。足で効果を操作するということも含めて、一番肉体的なエフェクターと言えるかもね。

どんなに変拍子でも
どんなジャンルでも
音楽はダンス・ミュージックで
あるべきだと思っている

───「Stra-Pole 〜Page12〜」は、タイトルからもわかるようにストラトキャスターとレス・ポールを使用してレコーディングしたのでしょうか?

 そうだね。リード・ギターを弾く時に使ったのがレス・ポール。さっきジェフの話をしたけど、多感な10代の頃はジミー・ペイジのギターに大きな影響を受けているから、レス・ポールを持つと当時の自分が自然と出てきちゃうんだよね。あと、この曲のリフを聴いてもらえばわかると思うんだけど、変な音が一緒に鳴っていて。レッド・ツェッペリンっぽい雰囲気が漂う独特な響きなんだけど、このリフで使っている演奏テクニックは、俺の中でちょっとした発明だったね。まだ誰もやってない弾き方を発見したんだよ。今度、ジミー・ペイジに教えてあげようかな(笑)? このギター・リフは、ぜひ耳で音を取ってみてほしいね。

───「Beyond The Beyond」は、荘厳なシンセサイザー・サウンドで幕を開けるサイケデリックな1曲です。

 この曲では、VOXのモデリング・ギター(STARSTREAM)が活躍したね。このギターを手に入れてから、シンセをキーボードではなくギターで表現するおもしろさに目覚めちゃったわけよ。いろんな音を出すことができるから、いろんな曲で隠し味的に使っている。で、この曲に関してはベース・ラインが最初にできたんだよね。そこからイメージを膨らませていって……<12世紀の教会に未来からやってきた宇宙人が襲来する>みたいな世界観が頭の中で広がっていったので、“21世紀のプログレ”的なイメージで作り込んでいった。シンセが“ビヨンビヨン”と鳴っているから、曲名も「Beyond The Beyond」(笑)。この曲で個人的に好きなところは、中盤に登場する変拍子のパート。ここは編曲とアンサンブルの妙で、変拍子に感じさせないところが、俺的にはよくできたなって感じるね。やっぱり打ち込みでドラム・パターンを作っていくと、規則正しく4拍子になってしまいがちなところを、いかに音楽的に壊していくか?ってところが重要。4拍子の曲を途中だけ奇数の変拍子にするのは面倒な作業なんだけど、そういうセクションがあると聴いていて飽きないんだよね。

───「Infant Elephant」は、2021年に発表した『Fret to Fret』にも収録された楽曲のセルフ・カバーです。

 どちらかというと、こっちがオリジナル・バージョンだね。この曲でも“プログレなChar”が出てくるんだけど……俺としては、どんな変拍子でも、どんなジャンルでも、音楽というものは“ダンス・ミュージックであるべきだ”と思っている。やっぱり“グルーヴ”することに意味があるんだよ。この曲に関しては、“親子の象が一緒に戯れるなら、このくらいのテンポ感かな”ってイメージでアンサンブルを作り込んでいった。BPMに関しては、一番最初に悩むところで、仕上げていく過程でしょっちゅう変更するんだけど、自分がドラマーだったらと仮定した時に、一番気持ちいいと感じるスポットを探していった感じだね。あと大事にしていたのは、打ち込みのドラムだとしても人間が演奏できないことはやらない、ということ。ハイハットを刻みながらシンバルを叩くとか……そういう箇所はちゃんと音を抜くようにしている。人によっては気にならないところかもしれないけど、そのひと手間をちゃんとやらないと辻褄が合わなくなるんだ。俺自身、本当にパーカッションが好きだから、こだわったところのひとつと言えるかもね。

───続いては、グルーヴィな「Micca Bozer」について。

 アルバムを聴き進めていく中で、この曲のタイミングでちょっと耳を休めるというか……例えばトイレに行ったり、水割りを作ったり、ちょっと携帯を見たり……そういう日々の生活の中に溶け込むBGMのような1曲だね。名前の由来は、そのまま“三日坊主”(笑)。以前、スタジオにPro Toolsを導入した時に専門家の方に来ていただいて、いろんなことを教わったんだけど……“三日坊主”だったんだよ(苦笑)。毎日、パソコンで作業しながらいろんなことを覚えていくより、俺がアナログで作るスピードのほうが早いって感じてしまったんだよね。

───この曲では、ワウ・ギターが表拍、シェイカーが裏拍を刻むことで躍動感を作り出している様にも感じました。

 そうそう。1曲を通して“キャッキャッキャッキャッ”ってワウ・ギターのカッティングが鳴っているんだけど、全体を考えた時にちょっと寂しいと感じたから、そのリズムに噛み合うように裏拍でシェイカーを入れたんだ。ちなみに、この曲の中で一番のキモになっている楽器はベースだね。この曲に関して、“どの楽器でグルーヴを生み出すのが一番おもしろいか?”って考えた時、“ベースだけは好き放題に遊ぼう”って考えていたので、最後に一筆書きでベースを入れ直したんだよ。

3

50年以上ギターを弾き続けてきて
今も新しいアイデアが湧いてくるのは
うれしいし、幸せなこと

───「My Favorite Thing」は、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌です。この曲をインストゥルメンタル・バージョンでカバーした理由は?

 これまでに多くのミュージシャンによってカバーされてきた名曲なんだけど、以前、JR東海のキャンペーンCM用に編曲して演奏したことがあって。CMで使われたのは30秒くらいだったんだけど、この機会にフル尺を完成させようと思ったんだ。改めて曲と向き合ってみたら、音階がメジャーでもマイナーでもなくて……そのメロディ・ラインにコードをつけていくのは難しかったけど、すごくおもしろかったね。すぐに口ずむことができるシンプルで大きなメロディなので、チョーキングやビブラート、ちょっとしたトリルやハンマリングなどを駆使しながら旋律に表情をつけていったんだ。ここではジェフ・ベックから学んだ表現テクニックが参考になったよ。ジェフの真似をしたというより、ギターならではの装飾の仕方を“俺ならどうやるかな?”って考えながら仕上げていった曲だね。

───その次は、“航海”というタイトルがつけられたヘヴィなロック・ナンバーの「Voyage」です。

 ポルトガルやスペイン、イタリアに面した地中海の風景をイメージしながら作った曲だね。帆船で大海原へ航海に出ていく感じというか。ギターを始めたばかりの子供の頃、こう弾くとスペイン風、こう弾くと沖縄風、こう弾くと中近東みたいだなって感じで、色々と遊んでいたんだよ。その当時の名残を感じられる楽曲かもしれないね。

───アルバムの中でも注目なのが、Johnny, Louis & Charの『OiRA』(1981年)にも収録された「Kindesalter」です。クラシック音楽のような雰囲気のソロ・ギターに「いとしのレイラ」のアウトロがマッシュアップされているのが印象的でした。

 俺はいつも昔に書いた曲を演奏する時、「曲を作った当時よりも何か発展させることはできないかな?」ってことを考えているんだけど、「Kindesalter」に関しては、ずっと「直すところがないな」って感じだったんだよ。でもある日、何気なく「Kindesalter」を弾いていて、最後に鳴らしたDのコードに導かれるように指先が自然と「レイラ」の後奏を弾き始めていて……まるで「Kindesalter」の第二楽章みたいにふたつの曲が見事につながったんだ。そうやって過去に作った曲が新しいアレンジに発展したことがすごく新鮮に感じたし、うれしかったね。

───続いては、ディズニー映画『ピノキオ』の主題歌である「When You Wish upon a Star」(星に願いを)のカバーです。

 “なぜこの曲をやろうと思ったのか?”と考えてみた時に、昔、自分の部屋の本棚に立派な装丁の『ピノキオ』の絵本があったのを思い出したんだ。おそらく子供の頃、映画を観た時に「この曲をエレキで弾いてみたらどうなるんだろう?」と発想を膨らませたことがあったんじゃないかな。で、何かのタイミングで曲を聴いて、“弾いてみたい”と思ったんだろうね。レコーディングするにあたり、じっくりとメロディを聴かせるアレンジにしたかったから、ギターとパイプオルガンしか入っていないシンプルなアレンジで仕上げていった。頭の中に、大きな教会でパイプオルガンと一緒にギターを弾いている絵が思い浮かんだんだよね。

───アルバムの最後を締めくくるのは、TUBEの春畑道哉さんに提供した「I Feel Free」です。

 この曲は、春畑くんから“ソロ・デビュー35周年の記念アルバムのために曲を作ってもらえませんか?”と頼まれたことがキッカケだね。コード進行はピアノで作ったんだけど、それがすごくカッコ良かったんだ。たまたまエレピを弾いていて、D#9から始まるコード進行が思い浮かび、最初の8小節ができて気持ちよくなって……あとからギターを入れる時に“D#9から始まるのは面倒だな”ってなったけど(笑)、やっぱりギタリストへ提供する楽曲ということもあり、デモの段階である程度完成度の高い音源を作らないといけないと思っていたかな。春畑くんからは、「デモ音源のトラックにギターをダビングしてもいいですか?」って言われたのを覚えてるよ(笑)。

───最後に、改めて作品を作り終えてひと言お願いします。

 常日頃から書き溜めているアイデアが大量にあったので、何らかの形で吐き出さないと溜まる一方だなと思っていたんだけど、その中には10年以上前のアイデアから最近レコーディングしたものまで混在していて……作った時期がここまで幅広いものは、作ろうと思っても作れるものではないから、ある種、おもしろい作品ができたように思う。実は、今回の収録曲以外にもいくつか候補があったんだけど、そっちにはボーカルを入れたいと思ったんだよね。連作となった『PSYCHE』、『PSYCHE II 』のように、『SOLILOQUY』もインストと歌モノというふたつのアルバムを作ってもいいかもしれないね(笑)。これまで50年以上ギターを弾き続けてきて、今も新しいアイデアが自分の中から湧いてくるってことはうれしいし、幸せなこと。今回のアルバムを作っていて、断片的なアイデアから曲に仕上げていく作業をしている時に、自分で言うのもおかしいけど“コイツ、すごい数の引き出しを持っているな”って感じたんだよ。まだまだストックはたくさんあるし、新しいアイデアも湧き出てくる。それが将来どう育つかわからないけど、今回の作品のようにスタジオクラフトの作品として完成させて、Charが独りで作り上げた純度100%の音楽表現を聴いてもらいたいね。